ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトルボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記 (新潮文庫)
発売日2011-10-28
製作者小林 和彦
販売元新潮社
JANコード9784101354415
カテゴリジャンル別 » ノンフィクション » 科学 » 精神医学

購入者の感想

本書を読みながらまず思ったことは、本書をできる限り多くの人に読んで貰いたいということであった。
本書が2006年に別のタイトルで初版7百部出され、売れ残ったにもかかわらず、2011年に新潮文庫としてこのような形で出版されたのも、この書の価値を認める強いサポートがあったからであろう。

私自身は統合失調症というより精神分裂病という言い方のほうが馴染みやすい世代に属し、多少の古ぼけた予備知識もあったのだが、この本を読んで始めてこの病に対する具体的なイメージを形成することができた。

大学(早稲田)時代アニメサークルで活躍した著者は卒業(1984年)後アニメ製作会社に就職したが、1986年7月頃から妄想が激しくなり、過剰な活動が目立つようになる。著者が自ら“発狂”したという7月25日の1日の行動および心の動きの緻密な描写は圧巻である。

“どうも世界がおかしい、と僕はそろそろ気づき始めた。目に見えるもの、耳に聴こえるもの、周りのすべてのものが、どこかよそよそしく、不自然なのだ。何者かが、<この世は僕のためにある>というシグナルを絶えず送り続けている感じなのだ。”

“立ち上がると、世界が変わってしまった。空はオレンジ色になり、建物や地面はあやふやで、手や足がそれらを通り抜けてしまうのではないかと感じ、すべてのものが自分への脅威となった。”

翌日父の赴任先の北海道の釧路に妹と共に旅行するが症状が悪化、現地で7月27日に入院する。以後11月に退院し、その後復職するがうまく適合できず 、、、、、、、今は柏崎で精神障害者用のグループホームで居住し、通院する(時に入院)生活を送っている。

こういう風に書くといかにも著者の人格が破壊されたように思われるかもしれないが、そうではない。著者の自己を冷静に見る目には揺るぎがない。

“現実的な考え方をして生きていくべきだ、とは思っているが、僕はどうしても統合失調症患者の切なる願いが世界を動かしている、という妄想的世界観に頭が支配されてしまう”

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